月に1度通る道に気になる家があった
5年前に見つけ、その道を通るたび楽しみであった
見事なブドウ棚が決して広いとは言えないその庭にはあった
はじめ気づいたのは、駐車場に止まる車の屋根すれすれに幾房もの青いブドウが下がっている時
枝を視線で追うと家の角を曲がり奥まった玄関へと導かれた
玄関のわきに1坪ほどの土が見える
ブドウの木はそこに植えられていた
枝のもう1本は2階の軒下へ導かれそこにも無数の房を付けていた
その時以来私はその家のぶどう棚の虜になった
春は小さな芽を吹き、夏には無数の房を付け、秋には見事に色づき、やがてきれいに剪定され眠りにつく冬
四季の変化を1本のブドウの木が演出する
その様を心おどらせ見守っていた
1年前の冬、駐車場に車は無くぶどう棚は取り払われていた
月に1度通るその道は空っぽの駐車場が気になる道になった
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