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甘い香りに誘われて

梅雨の晴れ間にいつもと違う道を歩いてみた

どこからともなく甘い香り

記憶にあるがなんの香りか思い出せないまま誘われるように足が向かった先に朽ちた廃屋

その庭にクチナシを見つけた

住人がいなくとも木々は花をつける

 年々歳々花相似(年々歳々花相似たり)

 歳々年々人不同(歳々年々人同じからず)

漢詩の1節が思い浮かぶ

来る年も甘い香りに誘われてこの庭を訪ねるだろうか

そんなことを考えながらクチナシの香りに別れを告げた

 

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